異物排除は快楽原則である

不幸を排除し、犯罪を排除し、病気を排除し…、
遂に国家や文明、人類や人間や自分を排除し始めた。

異物排除システムは、遂に自己排除の最終段階に来た。

現代世界は、自分を排除しつつ、自己を守る状態だ。

リストカット段階といったらいいのだろうか。
自分の存在があいまい化し、
痛みと出血に自己を確認するしかないのだろうか。

幸福と感動は、他人の痛みを自分の快楽にする方法だった。
遂に自分の痛みを自分の存在確認に使う段階に来た。

    *。
リストカット産業は、
喜怒哀楽の差異を消去し、
強力な刺激興奮を社会の機能に変えた。

その結果、リストカット産業に取り込まれた人々は、
最早葛藤を覚えることなく、
自己否定・自己破壊・自己抹殺を自己責任・自助努力・自己管理と思い、
自己否定・自己破壊・自己抹殺を楽しく消費し、
そこの幸福や感動を見出すのだ。

    *。
仕組みを考えよう。

幸福や感動を得ることは、不幸や不快を削除消滅することだ。

フロイトは快楽の原則といった。
現実の原則は、快不快を生きて、そこに生き甲斐を作ることだ。

快楽の原則は、快楽だけを求め、不快を捨てる。