小説の作法

弱い人間を受け入れる優しさ、
即ち、弱さを野放しにするいい加減さ。

人間関係を信じる暖かさ、
即ち、騙されることを疑いもしない間抜けさ。

世界に抱きしめられる幸福感、
即ち、人類皆一つとする傲慢さ。

世界が開けていく解放感、
即ち、これが嘘や妄想であることを無視する。

愛と官能に燃え立たせる、
即ち、ありもしない愛と官能に、欲望を爆発させる快感。

人情に泣かせる、
即ち、この世にありえない人情を謳い上げる。

       *。
これらは対偶対称性である。

夢と希望の対偶対称は、嘘や妄想である。
これが偽善と欺瞞の演技である。